……ていうか、手……繋ぎたいなぁ。

 俺は横目で右側にいるナツのことを見た。


 さり気なく、ナツの左手を……と思って狙いを定めた。……が。

 ナツの左手にはすでに鞄が握られている。


 繋げないじゃん……


 こういう場合、男の方から『手、繋ごう』って言うのは、恥ずかしくて言いづらい。ていうか言えない。


 かと言って、ナツの方から言ってくるのを待つのも、情けない。


 でも、まだ付き合って一週間も経たないうちの一回目のデートだもんな。今日はまだそんな段階じゃないよな。


 俺はまるで初めて彼女のできた中学生のように、健全な考え方で自分を納得させた。


 十八にもなって……て感じだけど、それだけ大事にしたいのも本音だ。





 俺達は、俺がいつも服を買ってる店に行った。


「何買うの?」

 店に入ってすぐにナツに聞かれた。


「えーっと……Gパンとか」

 俺は店を見回しながら適当に答える。


 本当、何買おう……


 とりあえず、俺は自分で言った通りにGパンの棚に行った。ナツもその横についてくれて、一緒にGパンを眺める。


「……ごめんな? 付き合わせて。ナツ、暇だよな。すぐ終わらすから」

 ここは男物の店だから、特にすることのないナツは退屈に決まってる。

 思いつきで買い物に付き合ってとか言うんじゃなかった。


「ううん。しばらく買い物してなかったんでしょ? それならゆっくり見ていいよ」


 優しいナツの言葉に、俺は感激する。


 やっぱりナツはイイ! 最っ高!


 でも、そんなナツに罪悪感(てほどのものじゃないけど)を感じる。何か俺のわがままでデートしてるっていうか……