何、この可愛いの!? ギュッてしたくなるじゃん!


 俺は今すぐにでも叫びたい。それで周りの人達に教えたい。


『この可愛くてキレイな人は、俺の彼女です!』って。



「旬君……それで、今日はどこ行くの?」

 ナツが俺を見上げる。


「んー……買い物とかしよっかなーって。ナツ、何か欲しいものとかある?服とか」


 俺も行くところを色々考えたけど、特にこれっていうのが浮かばなかった。


 映画とかも、今はイマイチ面白そうなのはやってないし、ドライブしようかとも思ったけど、俺の家の車は父さんが今日使うと言って無理だった。


 それで浮かんだのが、買い物がてらのんびり街を歩こうっていうプラン。

 俺は特に買うものとかないけど、ナツが行きたい店に合わせて付き合おうって寸法だ。


「え……あたし、丁度先週に買い物に行ったから、特に必要なものなんてないんだけど……」


 …………うっそ!?


 まさかそうくるとは……


 そんな偶然に先週行ったばっかって……

 あ、だから特に行きたいところはないって言ってたのか……


 今そんなことに気付くなんて、俺ってバカ……



「旬君?」

 ナツは首を傾げて俺を見ている。


「あ……じゃあ、ナツ。俺に付き合ってくんない?」

 俺はとりあえずそう言った。


「うん。いいよ」


「じゃあ、行こう」

 俺はナツの横に立って、歩き始めた。


「買い物って、服とか?」

 歩きながら、ナツが聞いてくる。


「うん。しばらく買いに行ってなかったから見てみよっかなーって思って」


「そっか……」


 正直、苦し紛れだ。しばらく服買ってないのは本当だけど、俺が買い物する予定はなかったからちょっと焦ってる。

 でも、考えとくって言った手前、行くとこないって言うわけにはいかないし……それじゃあ何のためにナツを誘って、バイトも代わって貰ってまで休んだんだ。


 とにかく、途中で話しながら、考えよう。