本当は、何かを言うべきだったのかもしれないけど、ミキの言うことがあまりにも正し過ぎて、俺が言うことなんて間違いだらけのような気がして、『ごめん』以外特に何も言えなかった。


 ただ思ったのは、俺はどうしていればよかったのか……それだけだった。


 ミキの言うとおり、俺は元々専門学校志望で、大学を受験しようと思ったのは、夏休み頃……ミキが大学志望で、ミキが行きたいと言った大学のパンフレットを見ていたら、俺の興味ある資格が取れると言うことを知った。

 それに俺と同じクラスの数人が受けるという学科だったから、俺も受験することにした。


 ミキと同じ大学に行きたいと言った俺を、ミキは止めたのに、それでもミキと一緒がいいから頑張ると言ったのは俺の方だ。


 それで夏休みまでは、受験勉強らしい勉強をしていたけど、俺は十八になる秋から教習所に行き始めて、免許を取った。

 そして、冬には教習所でなくなった金を稼ぐために、バイトを増やした。


 普通、大学を受験する奴には有り得ない。

 他の受験生が真剣に勉強してる時に、俺は全く違うことをしていた。

 ミキも心配してくれて、勉強のことを注意してくれていたのに、俺は気楽に考えて、結局はちゃんと勉強しなかった。


 でも、言い訳のようになるかもしれないけど、免許を早く取りたかったのは、受験が終わって卒業したら車でミキと色んなとこに遊びに行ったりしたかったからで、

バイトを増やしたのは、金がなかったら、ミキと遊べないし、三月にミキの誕生日があるから、その時にプレゼントとか買いたかったからだ。


 これをミキに言えば、別れることはなかったのだろうか……


 それとも、結果は同じように不合格になっていたにしても、形だけでも勉強を少しでも頑張っていればよかったのだろうか……


 最初から、いい加減に大学受験を決めないで、そのまま専門学校希望でいればよかったのか……


 色々考えたけど、もう遅い。ここまで気付かないなんて、やっぱり俺はバカだ。


 ミキのためにしたつもりのことは、結局ミキの望むようにはなっていなかった。


 それだけがショックだった。