俺は昼間のことを思い出す。

 そういえばあの時の着信って、違う人の名前だったっけ……


「うん。初めはさ、寝ぼけて自分のケータイが鳴ってると思ってとったんだよ。俺あの時寝てたから……でも分かるよ。ナツの声だから。あの時、一番聞きたいって思ってた声だったからさ」


 自分で言って、ちょっと照れた。ていうか、恥ずかしっ!


「何言ってるんだろうな、俺……」

 さすがに引かれたら困ると思って、俺は笑ってごまかそうとした。


 ナツの反応を見てみると……


「あれ……ナツ?」


 ナツの顔は真っ赤になっていた。


「へ……変なこと言わないでっ……」

 ナツはそう言って恥ずかしそうに下を向いた。


 横を向くと、耳まで真っ赤になっているのが分かった。


 その様子は、俺のツボに見事に、直撃した。


 可愛すぎる……反則技だって、それは……


 今すぐにでも、抱きしめたい衝動にかられる。

 思いっきり抱きしめて、頬ずりして、色んなとこ撫で回したい……!