「な、なんてねっ」

 ナツは少し顔を赤くして、明るく言った。


「ごめん、なんかあるものですぐ作るね」

 慌てた様子で、そう言って、ナツが立ち上がった。


 俺はほとんど無意識で、ナツの手を掴んでいた。


「え……旬?」

 ナツは目を丸くしながら俺を見下ろしていた。


「ナツを食べる」

 そのままナツを引っ張ると、俺の腕の中にすっぽりと入った。


「いただきます」

 ちゃんと行儀よくそう言ってから、俺は美味しくナツをいただいた。



 どっちが本当のナツなのか。それは多分ないんだ。大胆なナツも、ナツであることには変わりなくて、そして、俺がそんなナツのことも好きなんだということにも変わりはない。


 とにかく、ナツに出会ってから、ナツ中毒になってしまった俺は、どんな時でも、ナツがいないとダメなんだ。





     ☆end☆