「でも、これからは気を付けるから……だから…別れるとか、考えないでほしいんだ!
 俺は、ナツが一番大切だから……ナツがいないとダメなんだ!」


 ナツがいないとダメだと、この三日で思い知った。ナツがいないことなんて、考えられないんだ。


「旬……違うの!」

 ナツがいきなり声を上げて、俺はびっくりした。


「旬は全然悪くないの! あの時は…あたしが勝手にイライラして……それで旬に当たるみたいになっちゃって……どうかしてたの。連絡も……何だか気まずくてできなくて……だから、旬のことを悪く思ったわけじゃないの!」


 ナツが一気に喋ったことに俺はただ驚いて、そして、ナツの言ったことを頭の中で繰り返す。


 俺が思ってたほど、ナツは俺のことが嫌じゃないってこと……? ってことは……


「……じゃあ、別れようとか、思ってない?」

 念のため、ナツにちゃんと聞いて確認した。


「うん」

 ナツはすぐに頷いた。


「じゃあ、これで仲直り?」


「うん」

 ナツはまたすぐに頷いた。それだけでほっとした。


「よかった……」


 本当によかった。ナツが別れようとか思ってなくて……ナツと仲直りできて……


 丁度その時、ピーッっと高い音がして、ナツは慌ててコンロの方に向いて火を止めていた。俺はそれを見て、こたつに戻った。


 これで一安心だ。でも、これからは本当に気をつけるようにしないとな。


 そう思いながら、俺はダウンのポケットに手を突っ込んだ。


 あ……


 ポケットの中に入れてた小さな袋に手が当たった。うっかり忘れるとこだった。

 ナツに渡さないといけないんだ。