「ねーえ? まーは何にするぅ?」


「んー? ゆんは何にしたぁ?」


「あたしはぁ、ショートケーキとフルーツタルトどっちにしよっかなーって迷っちゃってぇー」


「そうかぁ。じゃあ、二つ頼んで半分コする?」


「あ、それいいかもー! そうしよ! そうしよ!」


「じゃ、ショートケーキとフルーツタルト一つずつ。あと、ホットティーとホットコーヒーで」


「……かしこまりました。少々お待ち下さい」

 カップルのオーダーを聞いて。俺はすぐにその場を離れた。


 ……ちくしょう……目の前で堂々とベタベタしやがって……


 すっ……げー羨ましいっての!

 俺もバイトさえ入ってなかったらナツと来たかったっての!


 あーあ……早く終わんないかなぁ……




 そう思っていたら、なんだかんだで忙しくて、すぐに時間は経っていた。もう上がりの時間の六時だ。


 やっと終わる……そう思いながら俺は下げた皿を厨房の方へ返しにきた。



「あ、沖田君!」


 呼ばれた方を向いたら、店長が急いだ様子で俺の近くへやってきた。


「ごめん! 終わりの時間だけど、もう少し入ってくれないかな?」

 店長が手を合わせて俺に言った。


「……へ?」

 いきなり意味が分からず俺は首を傾げた。


「実は、夜からの島崎君、インフルエンザで来れないって連絡入って……」


「えぇ!?」

 俺は思わず大声を上げた。