「ふーん。お前がそこまで絶賛するのも珍しいな。……写メとかねえの?」


「あー撮ろうとしたら嫌がるからないんだよなー」


 俺的には、ナツの写メを待ち受けとか着信とか発信とか、全部の設定画面にしたいくらいなのに、ナツは物凄い勢いで嫌がる。

 代わりに俺の写メを撮っていいって言ったら、いらないって言われた。

 さすがにそれはちょっとショックだった。


「ふーん……つうかさ、OLって忙しくねえの? しょっちゅう会えるもんか?」


「んー……まあ都合が合わなかったら会えなかったりするけど……でも家近いから会おうと思えばすぐ会えるし」


「へーぇ。そんなもんなのか」


「おうっ。ま、それよりも俺と彼女はいつも心で繋がってるからさ」


「うわっ。何だよそのデレデレ具合。なんかもう、いっそムカつくわ」

 田中には、ちょっと冷めた目で見られた。


「へへっ」


 それでも、ナツのことを思うと、俺の顔は緩みっぱなしになっていた。




 ナツと付き合って一年。

 やっと一年とも思うし、もう一年とも思うし、まだ一年とも思う。


 一年というのは、長いようで、実はとても短い。


 そんなことにも気づかず、俺は、このたった一年で、ナツとは本当にいつも心でしっかりと繋がってると、何も言わなくてもナツのことは何でも分かると、勝手にそう思っていた。