「お疲れでしたー!」


 バイトが終わると、俺は速攻で家に向かう。



 今日は日曜日。

 だから、ナツは俺のバイトが終わって家に帰るぐらいの時間に来る。


 いつもは、次の日が休みじゃないと泊まりはダメっていうナツだけど、今日は久々だからいいって言ってくれた。


 あまりに嬉しすぎて、自然と足が速くなる。



「あ」


 家の近くに来た時、見覚えのある後ろ姿を見つけた。


 あの髪、あの歩き方、自然と出てるフェロモン……


 十数メートル前を歩いていたけど、俺にはあれが間違いなくナツだということが分かった。



 俺は走ってナツのすぐ後ろまでついた。


 それでもナツは気付かない。


 何だか面白くなって、そのままナツに抱きついた。



「ナ~ツ~!」


「きゃあ!?」

 ビクッとナツの体が震えた。


「しゅっ旬!?」


「うん! ナツ~会いたかった~」

 後ろから抱きしめたまま、ナツに頬ずりする。


 久々のナツの匂いだ。

 香水とかはつけてないらしいのに、ナツからする甘くていい匂い……


「ちょっ……ちょっと、旬っ……ここ外だからっ!」

 ナツが俺の腕の中でパタパタと暴れる。

 それが小動物みたいで可愛い。


「もうっ……驚かせないでよね!」

 ナツが俺の腕を抜け出て怒る。


「へへっ」

 ナツに怒られてても、自然に笑ってしまう。

 ナツの全ては俺を骨抜きにしてしまうんだ。


「もう……」

 ナツは、呆れた風に言って、笑った。


 本当に、ナツは見てるだけでも飽きないなぁ。