バサリ……


 俺が箱から頭を離した瞬間、何かが落ちた。

 しかも、ナツの顔の上に……


「あ……」


 俺はそれを見て固まってしまった。


 ナツの顔の上に、今日見つけられたエロ本が開いた状態で落ちていた。 あ、そうだ……その辺にほったらかしててナツに怒られたから、とりあえずこの箱の上に置いてたんだった。


「ナ……ナツ……ごめ………」


 流石にこの状況がかなりヤバいのは俺でも分かる。俺が謝ろうとしたら、ナツはゆっくりと体を起こした。


 それと同時にナツの顔から本も落ちた。


 開かれたそのページは、さっきの巨乳のお姉さんが裸の男と激しく絡み合っているシーンだった。


「しゅーんー……!」

 ナツがキッと俺のことを睨んだ。


 睨んでても可愛いけど……とか、思ってる場合じゃない。



 その後、俺は三十分以上謝り続けて、とりあえず許してもらえた。


 ナツと一緒にいる時間を増やしたくて一人暮らしを始めたはずなのに、初っぱなからこんな雰囲気になるなんて、災難な一日だった。