『ホテル行く? 俺と……』



 なんでそんなことを言ったのか、俺自身よく分からない。


 下心と言えば確かにそうだ。


 目の前でめちゃくちゃスタイル(胸)がよくて、しかも顔も俺のストライクゾーンだし、そんな彼女が帰りたくないとか言い出すから、男として何も言わずに帰せるわけはない。


 ミキと別れて欲求不満というのもある。


 でも、店員として、客である彼女が酔って帰りたくないとか言い出すから、こう言えば流石に冷静になるだろうとか、思ったのも確かだ。



 何にせよ、まさか彼女が素直に頷くとは思わなかったんだ。




「ねえ、どこのホテル行く~?」

 店を出て、フラフラと歩きながら大きな声で彼女は言った。


「向こうの裏道行ったらラブホいっぱいあるよー」


 何気に詳しいらしい。

 よっぽど酔ってるだけなのか、意外と乗り気なのか、彼女は自分からそう言って俺の腕を掴んで引っ張る。


 俺を誘導するみたいに引っ張ってはいるけど、千鳥足で歩き方が真っ直ぐでなく、すぐによろめいて、転びそうになった。


「大丈夫っすか?」

 俺は彼女の体を支える。


「うふふっ。だーい丈夫ー」

 さっきまで酔って怒っていたのに、今度は笑ってる。


 面白い人だなぁって、この時は思った。


「うふふっ。早く行こー」

 彼女は笑いながら俺の腕にしがみつくようにして体をくっつけ歩き出した。


 そうすると……おっぱいめちゃくちゃ当たってますけど、いいんですか!?