「だって……一ヵ月ぐらい前から何もしてこなくなったのよ? 家に泊まりに行っても、夜、隣で寝てても『今日は疲れてるから』とか言って相手してくれないのよ? 何かおかしいって思うじゃない。だから昨日会った時、最近冷たくない?ってそれとなく言ったの。そしたらなんて言ったと思う?」


「さあ……」

 さっきからこんな調子で、俺にも話し掛けてくるけど、何を言えばいいか分からなくて適当に相槌を打っていた。


「『何か、君じゃ何も感じないんだよね。もしかして、不感症?』」


 うわー……元彼、言っちゃったんだ……


「はあ!? 何好き勝手言ってんのよ! こっちだってあんまり気持ちよくなかったわよ! でもそれはアンタが下手だからでしょー!」


 確かに、女の人にそれはひどすぎだ。俺なら絶対言わない。


「それ言ったの?」

 俺は、彼女が客だということも忘れて(本当ならとっくにバイト終わってるから関係ないのかもしれないけど)、自然とタメ口になっていた。


「言ってない」

 彼女は別に気にもならなかったらしく、そう答えて口を尖らす。


「言えばよかったのに」


「言われた時はそこまで頭回らなかったのよ! こういうのって後からくるからムカつくー!」

 俺の言葉に、彼女は再び憤慨して、今度は俺の腕を掴んで激しく揺さぶった。思いっきり揺さ振った。


 揺さぶられて、俺の体が左右に動く。

 そして、彼女の方に体が傾いた時、腕が柔らかいものに当たった。


 それは考えるまでもなく、彼女のおっぱいだった。


 そこで初めて気付いた。彼女の、その二つの膨らみの大きさに……


 自他共に認めるおっぱい星人の俺は、見るだけで女の人の胸のサイズが分かる。(これちょっと自慢)


 そして、彼女はE(カップ)は固い。


 俺としたことが、迂闊だった。目の前にこんないいモノがあって気づかないなんて……

 ちくしょうっ……もっと早くから見とけばよかった。


「もうそれだけが心残りなの! 絶対忘れられないわよ、あの男~!」


 俺が考えていることに気付きもせずに、彼女はまだ何か言っている。