「ミユ玄関から袋もってきてくれる?」 母が台所から顔を出した。その横からはカレー付きのおたま。いや 正確にはカレーが滴るほど付いただ。 「わかったよ。それよりカレーこぼさないでね。」 そう言って玄関へ向かう背中越しに あら 大変 と母の、のんびりとした声を聞く。 私の母は天然で ぽわぽわ という言葉がぴったりだ。ミユはたまに不安になる。 玄関の隅に青い袋が一つおかれていた。 袋の表面にピンクのメモが貼られている。 薄暗い玄関でもその文字ははっきり見えた。