｢唯衣～！｣

｢ん？｣

いきなり名前を呼ばれてドアの方を見ると、中学の時に一緒だった荻野 誠がいた。

明るくて人懐こい性格で、イケメンに入る整った顔立ちから悠ちゃん並みにファンが多いと聞いたことがある。

あたしが唯一、悠ちゃん以外で男子を下の名前で呼ぶ人物。

｢ちょっと来て！｣

そう言われて誠の所へ行くと

｢明日何か予定あるか？｣


｢予定は特にないよ～｣

すると、誠の顔が一気に笑顔になって

｢じゃあ明日ちょっと付き合ってもらいたいんだけど、いい？｣

｢いいよ。どこ行くの？｣

｢それは明日のお楽しみってことで。10時に桜坂公園に来て！よろしく！｣

それだけ言うと誠は友達に呼ばれてどこかへ行ってしまった。

｢唯衣、荻野君何だって？｣

｢明日付き合ってって言われた｣

｢何するの？｣

｢お楽しみだってさ～｣

｢ふ～ん。２人で行くんだ？｣

｢そうだと思う｣

｢ま、たまには西嶋君のこと忘れて楽しんできなさい｣

｢う、うん…｣

悠ちゃんとどこかに行けたらどんなにいいだろう…

そんなことを考えてしまうあたしは自分でも、悠ちゃんへの想いの強さに感心してしまう。

よし！とりあえず明日は思い切り楽しもう！