とりあえず母が乗った上り電車の隣の車両に、私たちはなんとか乗ることができた。
母は吊革につかまり、本か何かを読んでいるらしい。当然私たちの存在に、全く気付いていない。
車両と車両の間から、隣の車両の母の様子を、私とお姉ちゃんは遠くから凝視していた。
普段はスカートなんてはかない母。なんだか別人のようである。
急に心配になった私は、小声でお姉ちゃんに言った。
「ねえ・・・もし本当に男の人とかと会ってたりしたら、私たちどうすればいいの」
「母さんに限ってそんなことはないと思うんだけどなあ。でも明らかに様子がヘンだから、とりあえずついて行くだけ。まだ浮気と決まったわけじゃないから」
「そうだよね・・・」
さすが姉である。こんなときだって冷静な答えが出せるのは、私にはできないことだ。
あれだけ面白がってるようなフリをして見せながらも、やっぱり内心家族思いなのだろう。
そう思い直した私は、凛としたお姉ちゃんの横顔を眺めて、ふふっとほほ笑んだ。
