母を追いかけてまず一番最初に着いた場所。それは新大岩の駅だった。
「やっぱり駅か。電車に乗って会う相手って・・・ますますわからねえ」
頭をかきあげながら、お姉ちゃんは乱暴な口調でそう言った。
普段頭のいいお姉ちゃんは、わからないことがないように見えたけど、そうでもなかったらしい。
この時間の駅は、帰宅ラッシュで背広を着たサラリーマンが気持ち悪いほどうようようごめいている。
中には学生もちらほら。そうこうしているうちに、母の背中は小さくなっていく。
このままでは。見失ってしまう。
「やばい。ちょっと急ぐからアキ、はぐれるなよ」
「うん!」
そう言ったお姉ちゃんは、ぎゅっと私の手を握ると、母の背中めがけて駅の人ごみを駆け抜けて行った。
お姉ちゃんに手をひかれてただついて行くだけの私。この後の展開など、予測できるはずがなかった。
