「お母さんが洋服を?何ソレ、大地震の前触れ?」
「さあな。でも明らかに様子がヘンだ」
母は確かに、あまり自分の身の回りに気を遣うような人ではなかった。
だからこそ洋服を買い入れるなんて話は、娘としてびっくりするわけだ。
「仕事で何かあるわけじゃないのに、いかにも大人の女が着てそうな綺麗な服を買ってるみたいなんだよ」
「うそぉ。なんでだろうねえ・・・誰かに会うとか。誰だろ」
頭をひねって思い当たることを探そうとする私。一方で淡々とした口調で続けるお姉ちゃん。
「最近じゃ化粧のマニュアル本なんか買ってきて、こっそりドレッサーに向かってるの見ちゃったし」
「え~!なんでなんでなんで!絶対おかしいよ!」
幼い子供のような声で、思わず私は叫んでしまった。
「これから何が起こるかな・・・ひひっ」
お姉ちゃんの様子からして、母の不審行動を心配しているというより、面白がっているようにも見える。
