「なぁ、お前はどう思う?最近の母さんのこと」
質問を投げかけたお姉ちゃんの顔は、いつもよりも険しい。
「お母さん?別に変わったところはないと思うけど・・・」
その場の重々しい空気を無視した、私のぼんやりとした声。
そんな私に「気付けよ」と言わんばかりに呆れたお姉ちゃんは言った。
「あのなぁ・・・最近の母さん、なんか変じゃないか?妙に綺麗というか」
「もとから結構美人じゃん。気のせいじゃないの?よかったねえ、お姉ちゃんはお母さん似で」
残念ながら父親似の私は、恨めしそうにお姉ちゃんの顔を見る。
KYな発言を繰り返す私に、お姉ちゃんは怒ったような表情の一点張りだ。
「そうじゃなくて!なんか女っぽくなったというか、結構新しく洋服買い入れたりしてるんだよ」
「ほんと!?」
さすがの私も、ここまで来てようやく事態の不審さに気づいた。
