「おい、いるか?」
「はぁい、どなた?」
自宅警備員の部屋に、突然の訪問客。
こんな昼間に来客とは滅多にないから、ちょっぴり嬉しい気がする。
「どなた?じゃねえよ。あたしだよ」
「ごめんごめん・・・」
部屋のドアがガチャっと開く。向こうには見慣れたシルエット。
いつも通りのつまらなそうな顔でやってきたのは、私のお姉ちゃんだ。
「あれ、こんな時間に帰るとは珍しいね。びっくりしたよ」
「授業サボってきた。今日はちょっとお前に相談があってな」
自宅警備員は、誰よりも家族の帰宅時間に敏感なのだ。
「相談?何何何?」
私は身を乗り出して、尋ねた。
姉が私に相談事なんて、珍しくて雨どころか雪が降りそうである。
