先生は断じて、カエルなどではない。
大きな目にメガネ。そりゃあ私も初めて会った時はそう思わなくもなかったが。
カエルどころか、愛らしい王子にさえ値する彼。
姉の発言に心で猛反発をしても、到底力で姉にかなうわけなどない。
母と姉の話はどんどんどんどん、加速していく。
「アイツさ、コーヒー臭いんだよなぁ。あたしがあの予備校に通ってた時もずっと」
「ほんとに。歯でも磨けって感じよねぇ。オヤジのくせにガキみたいな名前しちゃって」
そんな二人の言葉のやりかわしを、しょんぼり小さくなって聞いていた私に、二人の視線が突き刺さる。
「ねえ「なあ」、アキ」
二人の声は、見事に重なった。この状況でどう答えたらいいのか。
私はこの時、難解なパズルでも突き付けられたような気分だった。
