あの人は拓人というのか。なんて素敵な名前なんだろう。
私の想像の壁を見事に突き破った、彼の輝かしい名前。
あの時「勇」を想像していた私は、そのあまりにもな現代風の名前に少々戸惑ったがしかし。
落ち着きを取り戻した今の私は、先生の名前を頭の中で何度も繰り返しては、にやける。
なんてかっこいい名前なのだろう。まさに存在全てが麗しい加藤先生に、ぴったりな名前ではないか。
あの笑顔も、覗かせた黄色い歯も、メガネのレンズの光り具合も、文字の書き方も、体型も、顔も、頭の良さも。
思い返せば全て「拓人」という名にふさわしいほど、きらきら輝いてかっこよかったではないか。
彼のかっこよさに見事に釣り合った、完璧な名前である。
ムフムフムフ。ムフムフムフ。
尽きない妄想に、いつも通りのにやけた顔。
いつものお湯の温度が今日に限って熱く感じるのは、私が恋をしているからなのか。
作戦が成功したよ喜びも大きいが、それ以上に先生に近づけている気がして、とてもうれしいのだ。
湯船の青が、私の存在のおかげでバラ色に変わってしまうそうな浮かれようである。
