先生はいかにもシンプルかつ男らしい手つきで、問題集をめくる。
私も問題集のページになって、先生の手でめくられてしまいたい。
無防備になった私に、先生はページを開いて見せた。
「今日はここからだね。よし、それじゃとりあえずいつも通り・・・っと」
先生はそう言いながら、またも麗しい手つきでルーズリーフの紙を袋から取り出す。
ルーズリーフの紙にでもなって、先生の手で触られたい。
ここまで来るときりがなくなるので、さすがの私もしぶしぶ問題集に目を向けた。
「先生にめくられるとは、小憎らしい問題集ね」
問題集という無生物に嫉妬をぶつける私。情けないが思わず声が漏れていることに気がつかない。
私の声を聞いた先生は、笑いだして言った。
「おいおいおい・・・問題集に喧嘩売っちゃだめだよ」
恥ずかしくなった私は、わたわたと解説を読むふりをしながらごまかした。
恋をしているといつだって、デンジャラスだ。
