「春川さん」
ずっと黙って私の話を聞いていた先生は、包むような優しい声で言った。
「・・・あのね、実は」
「あ、いいんです先生!ホラ、私は・・・別に気持ちにこたえてほしいってわけじゃなくて、結婚されてることも知ってますし・・・そういうつもりじゃ」
「春川さん、大丈夫だよ」
「決してそういうつもりではない」とあわてて弁解する私に、先生は少しだけ笑いながら私の声を遮った。
「春川さんの様子を見てればね、そういう子じゃないってわかるから。物分かりのいいあなただから、決して俺を困らせるために今の話をしたわけじゃないってことも」
「加藤先生・・・」
自分の気持ちをそのまま受け入れてくれた加藤先生のおおらかさに、私は胸の奥が熱くなった気がした。
やっぱり私は、この人を好きになってよかった。
先生から温かい優しさを感じた私は、そう思った。
