「私ね・・・」
上がった口角はそのまま、私はゆっくり口を開いた。
お化けでも見たような顔をした先生は、その大きな瞳で私を見つめ返す。
「先生を好きになったおかげで、こんなに明るくなれたんです。お友達もできたり、お姉ちゃんと仲良くなれたり、こうして気兼ねなく外に出られるようになったり。昔は私、今では考えられないほど暗い子だったんです」
私の言葉に「え?」と先生はなぜか、眉をひそめた。
「先生は気付いてなかったかもしれないけど、先生は私にとって・・・唯一関わりを持っている、貴重な存在でした。正直、先生以外の人とは全く関わりがなかった。寂しかったし、辛いときもあったんです」
「・・・」
黙ったままの先生は、見たこともないような、真剣なまなざしを私に向けている。
その顔はどこか、寂しそうな悲しそうな感じがする。
なぜ私の話を聞いて先生が悲しむのか、よくわからないが。
それでも私は、ありのままの自分の気持ちを、精いっぱい伝えることだけを考えた。
「いつも明るくて楽しそうな先生のおかげで、私まで元気になれたんです。それで・・・ここからは、半分だけ聞いてくれれば結構です。先生には迷惑かもしれないけど、私は大胆にも先生に恋までしちゃったみたいで・・・」
そこまで言ってようやく照れ臭くなった私は、ふふふっと下を向いて笑った。
「すごいですよね、ずっとひきこもりで恋にも無縁だった私が、先生のおかげで恋までできるようになるなんて」
そう言って視線を戻した私と、先生のやわらかい視線が、こつっとぶつかった。
