『やっぱり、駄目だったかな。もう帰っちゃったかな・・・』
地下鉄の駅付近で見渡すが、先生らしき人物はいない。
荒くなった呼吸を整えた私は、うっと涙をこらえた。
諦めかけた私の瞳に、通り過ぎていく人の姿がくるくる映る。
そんな人ごみをとろんと眺めている私の視界に、いつものシルエットが現れた。
かちっとした体型に、ちょっぴりメタボなお腹。
重みのある足取りは屋外でも健在、遠くから見ても見事なかっこよさ。
私がずっとずっと想いを寄せていた、あの人。
やっと会えた奇跡に胸を撃たれながら、私は彼のもとへ向かった。
「か、加藤先生・・・」
「あれ春川さん、どうしたの」
その声に、ずっと触れたかった。
