電車に乗っても地下鉄なだけに、真っ暗なトンネルの中をひたすら抜けて行くだけ。
そうして私は、今日の出来事を、自分の気持ちを、考えていた。
先生への恋心と、自分の今の気持ち。
なぜこんなふうに恋心が急に麻痺してしまったのか。なぜ先生がただの中年に見えてしまうのか。
今までの恥じらいやときめきや奇人さは、どこへ行ってしまったのか。
それ以前に私は、こんな「普通」な高校生だったか。
答えを探しても、なかなか見つからない。
いつか光がさす時待っていればいいのか。
今目に映るずっと真っ暗なトンネルの景色のように。
加藤先生に恋をしていた奇人な自分が戻って来るのを、私は信じて待つことにした。
