そんな私に困っているであろう美容師は、私にこう提案しだした。
「それじゃあ少しずつ切って見せますので、ちょうどいい長さになったら声をかけてもらうって言うのはどうですか」
「・・・それでいいです、それで」
半分以上瞼が落ちてきている私は、何が何だか分からないまま返事をした。
安易にうなずいたら、首から落ちそうになって危ない。睡魔と言うのは時折自動車より危ない。
このときの私は、完全に思考回路が途絶えているようだ。いつも狂っている頭とはいえ、クラシック音楽の威力は恐ろしい。
そうして悲劇はウエルカムとばかりに幕を開けたのである。
「これくらいでどうですか、3センチほど切らせていただいたのですが・・・」
「うーん、もうちょっと」
「5センチほど切りましたが、どうですか」
「まだまだぁ・・・」
「10センチですけど、もうそろそろ平気かと・・・」
「いや、足らん足らん」
・・・この無限ループゆえに出来上がったのが、今の山賊ヘアだったのだ。
信じられん話である。
