根は小心者の私。
情けないほど気の小ささを、ここぞとばかりに披露する羽目になるとは。
「あの、スミマセン・・・」
「ん、何かな」
逃げられないと察知した私は、トコトコと小太り先生のそばまで歩いて行く。
その先生は特に関心もないような目で、私の声かけに反応した。
そうして私は次の瞬間、知りたくもない中年のスリーサイズのために頭を下げて言ったのだ。
「ちょっと、測らせてもらってもいいですか」
「え、何を測るの?」
「えーっと・・・その」
ストレートに聞きかえされた私は、申し訳ない思いも込めて下を向いて答えた。
「私・・・ぽっちゃりしてるちゅうね・・・じゃないや。おじさまのスリーサイズを集めるのが趣味で」
「ほう、変わった趣味だね。私でよければ」
「ど、どうも・・・それじゃ、失礼します」
加藤先生ともう一人の先生は、そんな私の羞恥的なやり取りを面白そうに見ていた。
このときの二人はまさに、先生の仮面をかぶった悪魔と言ってもおかしくはない。
