「好きなものに理由なんて要りますか、理屈なんて要りますか。好きなものは好きなんです」
「ほう、それっぽいことを言うねえ。しかし君も、変な趣味してるよ」
そうはっきり言った私に、その先生は感心したようにうなずいてみせた。どうやらこのままうまくいけば、逃げられそうである。
だがそう安堵した私を簡単に逃がしてくれるほど、その先生は善人ではなかった。
たまたまそんな話で盛り上がっている廊下を、小太り気味の先生が授業を終えたようで歩いてくる。
その先生に気づいた先生は、私に向かって言ったのだ。
「ほら、君の大好きなぽっちゃりしてる先生が来たみたいだよ。サイズ測らせてもらえば」
「え、あ・・・」
もちろん私は、加藤先生以外の中年のスリーサイズなど興味はおろか知りたくもない。
戸惑っている私に対し、例の先生はさらに厭味ったらしく付け加えた。
「好きなものに、理屈はないんでしょう」
「う・・・」
勉強のことしか考えてないと思いきや、ものすごい悪魔にこの時私は遭遇したのだ。
