信号が青になり、私たちも小走りで街を駆け抜ける。
暗くて視界がよくわからないが、お姉ちゃんの服の裾を引っ張りながら走る。
交差点を抜け、さまざまな種類の店が立ち並ぶ。
母はそのきらきらした通りに向かって歩いているらしい。
無我夢中で小走りの私の前で、急にお姉ちゃんが止まった。そのおかげで危うく、お姉ちゃんの背中にぶつかりそうになった私。
そこは意外にも、本屋の前。本屋に母が用があるというのは、珍しいことではない。
「わっ!急に止まってどうしたの!?」
びっくりして目を見開いた私。だがお姉ちゃんはそれ以上に「何か」を見て目を見開いている。
「アキ、あれ・・・」
呆然と立ち尽くすお姉ちゃんの目線の先を、私も見た。とたんに、足の先まで血の気が失せていくのを感じる。
そこには母と待ち合わせをしていたであろう「男性」が母に会釈をしながら、一緒に店に入って行ったのだ。
とんでもない衝撃をこの目で目撃した瞬間だった。
