「ふん~♪ふふん♪」


真中先生からの情報が来てからずっとこの調子の私。
部室へ向かうこの距離もじらされている気がした。
私は中学生の頃からバレーバカだった。
バレーが私を変えてくれた。
男子はどうしてもサッカーや野球、テニスに取られてしまってバレーには集まらなかったが、今年は10人、過去最多だ。
鼻歌を歌っていたからか、後ろからやってくる人に気が付かなかった。


「どうした~?イチ。いつも以上に楽しそうだなぁ」

「キャプテン!」


3年キャプテン、二木秀。
身長185センチ。
ポジションはセンター。
長身だが反射神経は鋭い。
キビキビ動く巨体。


「新入部員に期待してんのかぁ?」

「はい。楽しみでなりませんよっ」


ハハハッ!と陽気に笑うキャプテン。
キャプテンたち3年生はあと2カ月。
もう自分のことで精一杯だと思うから、私達2年がしっかりしなきゃいけない。
それに私はただのマネージャーじゃない。
マネージャーの部室は、バレー、バスケ、卓球のマネージャー全員共用。
案の定、バスケ部マネ・都筑奈々と卓球部マネ・宮城琴音がいた。


「真兎ちゃん!聞いてよ!バスケ部8人新入部員!!」

「私のとこも5人!!」

「ははぁん。私んとこはなんと10人!!!バレーの時代かな」

「ついに二桁!!いいなぁ」

「合宿でパンツ洗うのはイヤだけど!」

「確かに!」


今年の1年はみんなやる気があるようだ。
3人でこれから会う1年生にワクワクしながら、私はジャージに腕を通す。
白に赤い線が入ったバレー部特性のジャージ。
volleyballと刺繍されたそれを見ながら私はついニヤニヤしてしまった。