「…私…?」
関さんと私は体育祭で話しただけ。
クラスも違えば部活も違う。
いってしまえば、あかの他人。
関さんと高梨の問題に私は関係ないのでは?
「そう、市ノ瀬さん。時間あるかな?」
「ある…けど…」
「行かなくていい、市ノ瀬」
高梨は私の腕を今日一番の強さでギュッと掴む。
高梨の私を見る目は、すごく辛そうで、それでも優しくて、ちょっと怯えていた。
きっと何かを心配してるんだ。
きっと関さんの話には私に関わることがあるんだ。
何も根拠はないけどそんな気がする。
今は関さんの話を聞かなきゃいけない。
「高梨…」
「…行くなよ」
「大丈夫だよ。安心して。お前が今、何心配してるか知らないけど、お前が心配してるほどのことにはならないから」
「………」
子供をあやすように、優しく言ってやる。
腕が痛むほどに握っていた高梨の手を解く。
解く時には、力はあまり入ってなかった。
「ありがとう。彰人!高梨頼んだよ」
「…わかってるよ、任せろって!」
彰人は性格はガキなくせに、いざという時、物凄く頼りになる。
10年以上一緒にいるから確実だ。
「さてと、マックにでも行く?関さん」
「…そうだね」
関さんは薄気味悪く笑った。


