「レシートいかがなさいますか?」
「大丈夫です」
私はすぐに着替えて、お会計を済ませた。
すると消えていた高梨が帰ってきた。
「終わったの~?」
「ああ。お前の選んだ奴にした」
「合宿期待してるね」
高梨は機嫌よく私の頭をポンとした。
こいつは何かある度、私の頭を撫でる。
すると突然高梨の表情が変わる。
視線の先に何かあったらしい。
高梨はまた私の腕をつかみ、引っ張った。
「市ノ瀬、ゲーセンいこう」
「へ?」
「彰人、ゲーセン行くよ!」
男性用の水着コーナーにいた彰人にも声をかけて、小走りに急いだ。
どうしたんだろう。
ゲーセンについても、高梨は少しキョロキョロしていた。
「どうした、高梨?」
「大丈夫、巻いたから」
「なー、これやろうぜ!」
彰人は何も考えずに、レーシングゲームを指差しではしゃいでいた。
だからガキかお前は!!
「いいよ。っていうか、私、不利じゃね!?」
「いや、ゲームだから関係ない!!」
「ほら、高梨座れよ!!」
あっちの方向を見て、真剣な顔をしている高梨を呼ぶ。
「あ、ごめん」
こっちに戻ってきたようで、笑顔も戻ってきた。
少し、高梨を気にとめながらも、私はなんとかレーシングゲームの世界に入りこんだ。


