一通り読み終わって、見渡すと高梨と彰人の姿はない。

っていうかあの2人絶対当初の目的忘れてるだろう。
少し呆れながら、本屋を回る。


「やっぱりここか」


彰人の居場所は簡単に突き止めた。
やっぱり少年漫画のとこ。


「あ、終わった?」

「終わった。あ、それ面白いんでしょ?」


彰人の手から漫画を取る。
この間、クラスの男子が勧めてきた。


「…ちょ……おい真兎」

「何?」


漫画のあらすじから顔を上げる。
彰人は笑いをこらえてる。
え、どうした。
彰人は向こう側を指差す。


「……まじか」


視線の先には高梨…with少女漫画。
ピンクピンクしたコーナーに高梨。
そりゃあ爽やかな顔で、今流行りの少女漫画を見つめている。例えるなら、デザートの真ん中に寿司があるような光景。


「あいつの用事って少女漫画!?」

「ぶっ!ちょ、笑わすなよ!」


高梨はファッション雑誌とか見るのかと思った。
期待を大きく裏切りおって、この野郎。
隣で彰人は笑いをこらえながら、写メっていた。


「おい、高梨」

「ん?どうしたの」


私が声をかけても爽やかだ。


「お前…少女漫画好きなのか」

「興味本位。面白いじゃんなんか」

「本屋に来たの、そのため?」

「まさか!小説買いにきたんだよ!!」


良かった。
高梨は至って普通でした。


「いやあ、最近の少女漫画ってハードだね」


高梨の持つ少女漫画を覗くと"先生との禁断の関係!?"と書いてある。


「…私はこんなハードな恋愛したくないな」

「良かった…」


何を心配してるんだ高梨。