「次本屋いこー」
「はいはい」
高梨に腕を引っ張られる。
そんなことせずとも歩けるんだけど。
「彰人いくよ…って何しとんの?」
「…あ、嫌だった?」
開いた左手を彰人に掴まれる。
別にイヤじゃないけど。
「なんてシュール!!」
お母さんか。
息子2人に挟まれたお母さんか。
いや違う。
身長的にお兄ちゃん2人に挟まれた妹だよ。
恥ずかしいっ!
「あれみて~!!」
「イケメンじゃん。挟まれて羨ましい!」
羨ましいのか。
これが羨ましいのか一般ピープルよ。
「なんか恥ずかしいね」
「じゃあ離せよ」
「それはヤだな」
高梨がチラッと彰人を見る。
彰人はギュッと手を強く握る。
私はガキじゃないから離して欲しいんだが。
「早くいこうよ。あわよくば、離して」
「「やだ」」
なんやねんお前ら。
結局そのまま本屋に行った。
ついたのに離さないもんだから、私が無理やり解いた。
そのまま私は雑誌コーナーへ行く。
「あ、あった」
月刊『マキシマム』
表紙には、俺筋肉ありますよ。とでもいいたげなスポーツマンが載ってる。
いろんなトレーニング載ってるから、たまに読む。
「お前、やっぱり男なんだな」
「…何だよ」
「だって周りみんな男じゃん」
そりゃあ男性向け雑誌コーナーだからな。
隣は車の雑誌だし。
「またマネの仕事?」
「まあね。合宿も近いし、そろそろスケジュール立てなきゃ」
「楽しい?」
「楽しいよ」
「ふぅん、そっか」
彰人はいつものニカッとした笑顔じゃなくて、妙に大人びた笑顔をした。