7月中旬。
夏休み直前。


「あつ…あっづ!!!!!」


そこは駅前ショッピングモール。
私は珍しく5分前に到着。
家から持ってきた扇子を全力で扇ぐ。
エアコンが恋しい。


「ぶっさいくな顔」

「こら彰人。仮にも女の子」

「ブサイクでわるかったな!」


今日初めて言われた言葉がブサイクって。
高梨も"仮にも"とか言ってるし。
とことん女として見てないんだな!
まあ、女として見させないようにしてるから仕方ないけどね!


「さあ、行こか!」

「まずクレープ食べようぜ!」

「お前なんのために来たか分かってる?」

「そしたら本屋行こう」

「高梨話聞いてた?」


とことん私の話をスルーされた…。


視界の端に、とあるお母さんとおチビちゃんが映る。
おチビちゃんがワガママに、ママこれ買ってー!と言うとお母さんは、我慢しなさい、とあしらっていた。


なるほど、お母様の気持ちがよく分かる。
私は今2人のクソガキの母役だ。


「クレープ♪クレープ♪」


ほんとに子供みたいだ。
彰人はデカいクレープにかぶりついている。
あ、ほっぺに生クリームついてる。


「彰人、クリームついてる」


持っていたナプキンで拭いてやる。


「じ、自分で拭けるっつの!!」


ごめん。
なんかもうお母さんスイッチ入ったから。
いいのよ、彰人くん。