「うひょー…」
そびえ立つのは、普通の一軒家×3くらいの大きさの家。
家間違えたんじゃね?と思ったが表札には間違いなく"高梨"と書かれている。
「…お、おい。ピンポン押せよ彰人」
「何ビビってんだよ!」
何度か来たことがある彰人は、何も緊張せずにインターホンを押した。
…なにか負けた気がする。
『はい』
「あ、涼平くんの友達です」
『あらこんにちは!今開けるわね』
門が自動的に…開いた。
『どうぞ』
私たち4人は高梨家の敷地に足を踏み入れた瞬間だった。
門から玄関まで20歩あるよ。
私んちなんか5歩でつくのに。
ガチャと扉が開くと高梨が顔を出して、よっと挨拶した。
間違いない高梨の家だ。
「お、お邪魔しますっ」
「早く入れよ!」
「真兎落ち着きなよ」
どんっと押されよろめくように入る。
確かにそわそわする。
高梨の部屋に入ってもそわそわ。
あまりに普通な部屋。
「だが広い」
「俺んちのリビングみてーだよな」
金持ちか、金持ちなのか高梨家は。
「さ、始めようか。これ、お菓子とジュース」
手に美味しそうなものを抱えた高梨が入ってきた。
何故にタルト。
普通はうまい棒とかぽたぽた焼きとかチョコとかそういうのじゃね?
と気にしつつも、私はタルトをほうばった。


