とりあえず平和に午前中の競技が終了した。
弁当にからあげが入っていたのでちょっと気分がいい。
「真兎さ。勇者だと思う」
「は?何が」
突然の私勇者発言。
くわえたタコさんウインナーの足が、私の口で花開いたようになった。
キモかったようで椎名は、顔をしかめた。
「さっきの借り物競争だよ。よく関さんにあそこまでしたね」
「いやあ、困ってたのでね」
「それもそうだけど…まさかの高梨くんを召還するなんて」
「ん?高梨じゃダメだった?」
「ダメっていうか……関さんは高梨くんの元カノだよ?」
「……………なんと?」
きっとさっきみたいにタコさんくわえてたら、今頃タコさんは椎名の顔に飛んでいただろう。
それだけ衝撃的だった。
「やっぱり知らなかったんだ…」
「知らない!やっば…それってお互いに対して最低なことしたよな…」
うわあ、人助けじゃねーよ…
さぞかし2人は困ってたろうに。
「で、さっきの噂って奴はね、付きあってた頃に関さんが浮気したらしいよ。浮気して、バレて、別れて…でもやっぱり高梨くんが好きだったから、高梨くん追いかけてたらしいよ」
「うわーお、浸かりたくない泥沼だね、昼ドラだね…でも謝らなきゃな」
高梨に謝らなきゃ、関さんにはどうしよう。
「関さんには、私が謝ろうか?元同じクラスだったから」
「あ~椎名!!もう大好き!!愛してる!!」
「愛はいらないよ」
椎名は女神に見えた瞬間だった。
私、高梨、関さん。
歯車が狂いだした瞬間だった。


