次は借り物競争。
さてと私は行ってきますか。

ふとレースのメンバーを確認すると、この前バトンパスの練習をしてたとき見つけた女子がいた。


「なあ椎名、あの子知ってる?」


隣で走る椎名に聞いてみる。


「ああ。A組の関さん。漫研の子だよ」

「へー、おとなしそうだな」

「…あまりいい噂は聞かないけどね」


噂?と聞き返そうとしたが、もう自分のレース。
噂ってなんだろう。


位置について、よーい…どんっ


借り物競争は別に走るスピードは関係ない。
軽く走って目についた封筒をとる。



-異性



と大きな字で書かれていた。
彰人にするか。と応援席を見渡すと彰人が私に向かって、おせー!!!と叫んでいた。
前方に私より早く封筒を取ったのに動かない関さんを見つけた。


「…関さん、どうかした?」

「えっ?」


突然声をかけられて、ビクつく関さん。
…そんなに驚かなくても。


「あの…私、男の人苦手でっ」


しゃべり方もビクつく人だな。
関さんの手には、異性と書かれた紙が。
…仕方ない。


「おーい、彰人!!!高梨!!!来い!!」


紙を見せびらかしながら叫ぶ。
彰人は待ってました!と出てきて、高梨も意外な顔で出てきた。


「高梨、関さん頼んだ。よし、彰人全力疾走だっ!!!」

「オッケーッ!」

「え、市ノ瀬!」


高梨に呼び止められたが、今はレース中、止まってなんかいられないんだぜ!
私と彰人はゴールを駆け抜けた。


1等は椎名、2等が私、3等は関さんだった。