さあやって参りました、第60回体育祭。
開会式が終わると各応援団がエールを送り、恒例のダンスを踊り始めた。
ひよこの着ぐるみを着た男がチア部のみんなと踊ってる。
グラサンつけて踊ってる。
誰だ、と目を凝らしてみるとまさかのキムさん。
なにしてんのキムさん。
「キムさんだよね」
「違う!親戚のキムチさんだ。あんなキムさんいるはずない!」
「そうだね、キムチさんだね」
椎名と冷めた視線でキムさん改め、キムチさんを見つめた。
ダンスが終わって、爽やかな顔で帰ってきたキムチさんに、顔面から制汗スプレーをぶっかけやった。
第一種目は障害走。
8競技ある中で、1人3つは出なければならない。
私は借り物、騎馬戦、リレー。
第1走者から走り出すなかで第5走者のスタートで、一部の女子が騒ぎ始めた。
「きゃーかっこいい!」
「頑張って!!!」
「高梨くーん」
ん?高梨!?
第5走者の顔ぶれをみると確かにあの高梨がいた。
まじか。
高梨って女子に人気だったんだ。
じっと高梨を見てると目があった。
ニコッと笑って手を振られた。
「今手振られちゃった!」
「うそ、私だよ!」
前の応援席で女子が勘違いしていた。
いや、多分私に手を振ったんだと思う。
そもそも、高梨はあまり女子と話さないからね。
もちろんそのレースの一等は高梨。
戻ってきた高梨がピースして来たけど、半分無視した。


