翌日体育館での練習中、真中先生が大きな胸を揺らしながら集合をかけた。
動く度揺れる胸は邪魔ではないのですか。
「体育祭の部対リレーに出る人を発表するわね!二木くん、佐藤くん、藤澤くん、高梨くん。頑張ってね!」
真中先生は天使のような微笑みでガッツポーズ。
「高梨、また出るのか!ま、頑張れや!」
「う、おお!ありがとう」
思いを込めて母の会社で貰える炭酸入浴剤を一箱あげた。
家族だけじゃ使いきれなくて、持ってきたのだ。
「ん~?イチ。高梨のこと嫌いじゃなかったのか?」
「嫌いじゃないですが、好きでもないです」
「えー俺、市ノ瀬結構好きなのに」
「残念、片思いだな」
キャプテンは偉く爆笑した。
まあ確かに2年になってからは、サボりとか遅刻はなくなった気がする。
高梨のことが嫌いだった理由が消えたので、好きになってやってもいいか。
「仲良くなって良かったよ。3年は結構心配してたんだぞ。マネージャーって支えてくれる存在だから、仲良くなきゃやってけねぇからな!」
「そうなんですか。私、支えてるんですか!」
「市ノ瀬、毎日一番帰り遅いじゃん。救急箱チェックしたり、練習ノート書いたり。俺達随分支えられてるよ」
「……ほ、誉めたって何も出ないからな!!」
毎日毎日、ただ直向きにやってきただけ。
別に誰かに誉められたくてやってるわけじゃない。
ただ、バレーを全力でやるコイツらをみたいだけ。
突然誉められたって、なんもしないぞ!


