体育祭。
そんな時期も近づいてきていた。
5月になり、クラス替えの後のギスギスした空気は消えていた。


「はぁ、体育祭ね。めんどくさい」

「は?何言ってんの椎名。体育祭最高じゃん!!」

「熱い、熱血。温暖化よくないよ」


恐ろしいほど温度差のある2人。
私は根っからのスポーツマンタイプだから仕方ない。
単純、元気、お調子者。
三拍子揃って私だ。


「じゃあ、選抜リレーの選手は男子は松田と高梨。女子が椎名と市ノ瀬な」

「はい?いつ決めたの!?」

「なんで私も入ってるの」


先生があたかも正式な判断で決めましたみたいに、選手を発表していた。
文句を言う私達に割って入ってきた男子がいた。


「俺が2人は足が速いって言いましたー」

「ふざけんな彰人!!!!」

「お前のことは何でも知っている!」

「うそつけ!」


松田彰人。
私の幼なじみ。
チャラ…くはない。
なり損ないチャラ男。


「実際お前、走りたかっただろ?」

「…まあな」

「私は走りたくないんだけど」

「まあまあ!いいじゃないの、椎名ちゃん!」


今日の彰人は絶好調。
椎名もめちゃくちゃ嫌な顔をしているが、多分折れる。
なんだかんだ椎名は優しいから!
…ていうかさ、


「高梨ってC組だったの?」

「え、何それ酷くない?」


さっきクラスのギスギスした空気がなくなったとか思ってたけど…気が付かなかったよ、高梨の存在。