男勝りな私の恋の仕方。



時刻は9時。
電車が止まって30分。
部活の疲れが来たようで、私はうとうとしていた。
それに気が付いた高梨は私の隣に来て、私と同じように扉に座り込んだ。


「眠いなら肩貸すよ」

「は?いらない、そんなの」


何さらりと言っているんだ、この男は。
端から見たらカップルじゃないか。
好いてもない男の肩を借りるなんて有り得ない。


「強がんないの。マネージャー頑張りすぎ。ちょっとくらい頼ってよ」

「どの口が言うんだ、この遅刻魔!!」

「ヒドいなー。じゃあ今この瞬間から頼りになる男になるから、おやすみ」


そう言うと高梨は、私の肩を抱き寄せて、頭を自分の肩に乗せた。
頭をポンポン、とした。
抵抗しようとしたが、なんだか安心感と心地よさには勝てなかった。


「高梨ってさ、なんでバレー始めたの?」


遠退く意識の中、私は言った。
話を続ける気なんて全くなかったけど、なんとなく。


「楽しいから?」

「…嘘だな…」

「…別に嘘じゃないよ」

「…ふ~ん」

「何疑って…って市ノ瀬?」

「………」


ぼやーと高梨の声と顔が頭に残ったが、よもや私の体力は残されていなくて…高梨の肩を拝借して寝た。
好きじゃない高梨の隣は何故だか、凄く心地よかった。