「瀬名がそんなことを?」
「ああ。瀬名は変わろうとしたことで、殺されてしまったんだよ」
しばらく、三人は口を開かなかった。ただ呆然と海を眺めていた。
「俺は間違っていたんだろうか」
慎吾は小さく呟いた。
「俺が瀬名を注意しなければ、殺されずに済んだんだろうか」
「森村くんは悪くないよ」
そう返したのは良人だった。
「悪いのは逮捕された刑事だよ。あいつらの身勝手な行動のせいで、瀬名さんは殺されたんだ」
「けど…」
慎吾は手で顔を覆った。
「行くぞ」
夏樹は慎吾の腕を引っ張った。
「どこに」
弱々しい声で慎吾が答える。
「小春のところだ。お前、最近会ってなかっただろ」
小春というのは夏樹の妹で、慎吾とも仲が良いのだ。
「そういえば…」
「心配してるんだ。顔見せてやってくれ」
慎吾は涙を拭いて、ゆっくりと歩き出した。
「ああ。大好物のプリンを持って行ってあげるよ」