妹はあたしより
いつの間にか大きくなっていった。


でも、あたしはそんなの気にしない。


もらえないわけじゃないから。


「夏になったらセミをお腹いっぱい食べられるからね」
って、お母さんが言う。


セミだけじゃない。


「この辺は優しいお年寄りが多いから、
ミャーって可愛く鳴けばほっぺが
落ちそうなくらいの美味しいエサがもらえるのよ」


あたしは早く外に出て、
いろいろな物を見たり、
食べたり、遊びたかった。


ずっとお母さんや兄弟たちと
一緒にいられると思っていた。


でもある日、
あたしたち兄弟は
バラバラになっちゃったの。