兄妹が多いからあたしたちは
いつもお腹を空かせていたの。


だけど、お母さんの言いつけは守ったわ。


音がしただけで、びくびくするお兄ちゃんもいたから、
あたしたちはいつも大人しくお母さんの帰りを待っていた。


外の騒がしい声や物音は、
いつの間にか止んでいた。


「お母さん、まだ戻って来ないね?」


外の世界は敵が多いって聞いているから、
いつもお母さんが帰ってくるまで、
心配で心細かった。


あたしたちの動ける場所は樽の中しかない。


あたしの毛色はグレーだったから
汚れは目立たなかったけれど、
お兄ちゃんたちは、背中は黒いけれど、
お腹は白、
炭の上にいるお兄ちゃんたちは
いつの間にか白からグレーに汚れていた。


それを見て笑うと、お兄ちゃんたちは怒る。


お兄ちゃんたちはお母さんにそっくりで、
あたしと妹は違う。


お兄ちゃんたちの毛色が羨ましいと思っていたから
憎まれ口を言っちゃうの。