ハナの家族

お母さんは戻って来なかった。


あたし達は捨てられたのだと、
悟った。


寒くて怖くて不安で、
あたし達は身を縮こまらせていた。


その時、


ガラッ!


大きな物音がして、
突然眩しい明かりがあたし達にあたった。


「やっぱり親猫はいないな」


男の人の声。


親猫ってお母さんのこと?


「このままだと死んじゃうわよ」


女の人の声もする。


「飼おうよ、可哀想だよ」


さっきの女の子。


あたし達は
抱き上げられて箱の中に入れられた。


お腹を空かせていたあたし達は、
か弱い声しか出せなかった。


これから何が起こるのか怖かった。