ハナの家族

「もうここにはいられないの 
人間に見つかってしまったから 
あの子たちは先に危なくない所に
連れて行ったの さあ、あなた達も――」


突然、大きな物音がした。


お母さんはビクッと身体を振るわせて、
樽の中から飛び出した。


「お母さん!」
「お母さ~ん!」
「どこに行くの!?」


お兄ちゃん達とあたしを残して、
お母さんはどこかへ行ってしまった。


あたし達は不安で「ミュウミュウ」鳴いた。


鳴いていると樽の蓋が開いて、
人間の顔が3つ見えたの。


怖くてあたし達はさらに大きく鳴いた。


「うわぁ~ 可愛い」


女の子の声がした。


「本当に可愛いわね ちっちゃいわ」


それから女の人の声。