そう言うと、花音は紙パックのカフェオレをストローでチューチュー飲んだ。


「何を？」


「優の近況」


「優がどうかした？」


「知りたい？」


笑顔で聞いてくる。


「別に」


顔を背けて片手で頬杖をついた。


視線だけ向けると、花音は大きな口を開けてパクッとパンにかじりついていた。


下を見ると、お弁当箱の中のタコの形をしたタコさんウインナーが目に入った。


食べようと思って箸でつまむ。


そして、それを口の中に入れた。


「優は、誰かさんのせいで激痩せしたんだって」


花音のその言葉にウインナーを咀嚼する歯の動きが止まった。


「かわいそうにね。もともと痩せてるのに、あれ以上痩せたらどうなるんだろうね」


何食わぬ顔でそう言い終えると、花音はすべて食べてしまって空になったパンの袋をくしゃくしゃにして手で丸めた。


「立ち直れないみたいよ。かわいそうだから、元サヤに戻ってあげるってのは？」


手で丸めながら、じっと花音が私の顔を覗き込む。


元サヤなんて冗談じゃない。


せっかく遠藤さんと付き合えたのに、なんで優と縒りを戻さないといけないの？