まだ、君を愛してる.doc

人並みに家事は手伝っていたから、一通りは出来る。ただ、毎日、会社から帰ってきたら、これとなると話は別だ。憂鬱。それと同時に思う。別居ですらこれなのだ。別居はもしかしたら、まだやり直せるかも知れない。有限のもの。仮に離婚したら、それが半永久的に続く。歳も歳だし、もう再婚って言うのもないだろう。つまりは無限のもの。それを思うと、自分を押し殺してでも、愛花に謝り、元の日常を取り戻せたらと考えてしまう。
家事のためによりを戻すのかと、どこぞやの団体に入っている女性たちには怒られそうだが、それも共に生活する上では重要な要素なのだ。
「終わったぁ。」
一人暮らしなのに、どうしてこんなに埃が溜まるのか。どうしてこんなに洗濯物が溜まるのか。呆れるばかりだ。そして、終わった後の疲労感はものすごい。
リビングのソファにあぐらをかき、携帯を眺める。
着信履歴、メールの受信ボックス、どこにも愛花の名前がたくさんある。撮った写メは、やはり愛花ばかりだ。どんなに僕の中に彼女が浸食していたのか、それを痛感した。
「愛花か・・・」
ふと、親指が動く。“返信”ボタン、これを押せば、すぐに愛花にメール出来る。一言ごめんと言えば、さっき考えた通り、日常が帰ってくるはずだ。
「・・・ダメだ、ダメ、ダメ。」
慌てて携帯を置く。そうだ。何を考えている。あいつが自分から出て行ったのだ。それなのに、こっちからメールなんてあり得ない。けっして人に見せられるものではないが、それが男のプライドだ。ちっぽけなものと罵られたって構わない。プライドを持ち続けるのが男には重要なのだ。
こうして一日は終わっていく。来る日も、来る日も・・・。